迫ってくる拳にμ’s 星空凛 コスプレ衣装
胴を打たれた柔術家は、背後のロープを千切り、場外に吹き飛ばされ、盛大に吐血してしまった。肩で息をしながら、リングで悠然と構える少女を見据える。このワシの合気が通用しない。何がどうなっているのかわからぬ。だが少女に舐められっぱなしとあっては、この渋川、捨て置くわけにはいかぬ。「舐めるんじゃねえ！ 小娘如きが、生まれ落ちて七十余年のワシに勝てるわけねぇだろうが！」ついに好戦的な面を剥き出しにして、猛然と彼方に襲いかかる。近江彼方一五八㎝、渋川は一五十五㎝、つまり身長に際立った差はない。渋川は合気ではなく、怒涛の拳を繰り出した。全く躱す様子を見せず、真っ向から受けて立つ。老人の打撃とは言え、ノーガードで何発も食らえば昏倒するはずだが、彼方は微動だにせず、それどころか流血ひとつ起こさない。困惑する剛気に彼方は謎解きをした。「彼方ちゃんはね～、消力（シャオリー）を使っているのさ～」「！！」衝撃的な答えに渋川は目を見開き、驚愕した。消力。中国四千年の歴史の中でも究極の武術家とされる郭海皇のみが到達したと言われる武の境地。究極のリラックス状態になることで、いかなる敵の攻撃も無効化し、攻撃に転じれば脱力による力の開放でもって一撃必殺の拳となる。いかに柔術を極めた渋川でも気のない打撃を捉えることはできず、食らったら最後、凄まじい威力で意識を絶たれてしまう。わずか十七歳。されど十七歳。常にリラックスし、眠気を催している彼方だからこそ習得できた最高の武。μ’s 小泉花陽 コスプレ衣装そのからくりの正体を知った渋川は全身をわなわなと震わせながらも、四肢をマットに突き、深々と頭を下げた。試合前とは違う。心の底からの行為だ。
