愛は迷っていたが、璃奈は送り出した

「りなりーμ’s 園田海未 コスプレ衣装ごめんね!」申し訳なさそうに手を合わせる愛に、璃奈は首を振る。「気にしないで。欠員が出ちゃったなら、仕方ない。助っ人頑張って。──璃奈ちゃんボード、『ファイト!』」「埋め合わせは必ずするから!」ともう一度手を合わせた愛は、部室棟の方へ走って行った。愛が見えなくなると、振っていた手をパタリと降ろす。──愛さんは人気者。私一人にだけ構っている訳にはいかない。今日は練習も休みで『もんじゃ みやした』も定休日。久しぶりに二人でどこか遊びに行こうか話していた所に、ソフトボール部から欠員の連絡。他校との練習試合の直前で、ピッチャーが突き指をしてしまったらしい。愛は迷っていたが、璃奈は送り出した。“部室棟のヒーロー”が、輝ける場所があるのだから。「…………」自分で決めた事とはいえ、突然暇になってしまった璃奈はこの後どうするか考える。しずくは演劇部だし、かすみはせつ菜──改め菜々に捕まり勉強会を行っている。あまりお邪魔したくはない場所だ。少し前まで同様、自宅でゲームに明け暮れてもいい。と思ったのだが、μ’s 星空凛 コスプレ衣装いまいち気分が乗らない。「……助っ人、ソフトボール部って言ってたっけ」愛が校外まで助っ人にお呼ばれしたと聞いた事はない。女子野球部に草野球同好会にソフトボール部。似たような部活もグラウンドも複数ある虹ヶ咲学園だが、所詮は学内。心当たりを巡ればすぐ見つかるだろうと、璃奈は運動場の方向へ足を向けた。