白上も、リンチ司令補がどんな感じの人なのか掴んでおきたいし

「帰るよバーチャル アクシア・クローネ コス衣装フブちゃん。どうもありがとうございました」「えっ、ちょっと!?」ポルカちゃんはすたすたとハドソンに歩み寄ると、するっと運転席に乗り込んでしまった。早々にエンジンをかける音がして、私も慌てて後を追う。あの勢いだと、本当に置いて行かれるかもしれなかった。助手席に乗り込んでドアを閉めるなり、ポルカちゃんは猛スピードでハドソンをバックさせて資材置き場から出した。「うわっ......ちょっと、どしたのポルちゃん」「いや、エリシアン・フィールズ絡みなら、ここは一旦引いた方がいい気がしてさ」「どうして?」「フブちゃん、エリシアンの社長知ってる?」「リーランド・モンローでしょ? ラジオにも、そこら中の広告にも出てる」「そう。で、その様子だと知らないみたいだから付け加えとくと、モンロー社長はボーロン市長とウォーレル警察局長の個人的な友人だ。めっちゃ親しいらしい」ポルカちゃんはまだしゃべり続けてたけど、"ウォーレル局長の個人的な友達"というワードは、私に不快な記憶を思い出させた。あの夜の取調室で、コートニー・シェルドンが取引を申し出てまさに自白しようとしていたあの時を。局長が突然取調室に入ってきて、シェルドンが付き添いだと言って連れてきていたフォンテーン医師と親しげに握手を交わしたあの時を。そして私は――私とミオは――停職になった。「......フブちゃん? フブちゃん、どした?」「え?」気が付くと捜査用車は停まっていた。ケンモア通りとの角で信号待ちをしているところらしい。ポルカちゃんが心配そうな顔でこっちをのぞき込んでいた。「いや、バーチャル 魔界ノりりむ コス衣装いや、なんでもないよ。白上、何か言った?」「んにゃ、何も。ただ何ていうか......親の仇を見たって感じの顔で、息も荒かったから」交通信号機がチンと鳴って青に変わったので、ポルカちゃんは再び捜査用車を出した。「なんでもないよ、ホントに......ところで、どこ向かってるの?」「消防だよ。第32消防分署」「リンチ調査官だね?」「そ。とりあえず郊再基金関係以外に行く当てがないなら、アルの意見を聞いてみようかと思ってさ」私は正直、まだ郊外再開発基金に心残りがあったけど、私が過去に囚われてる間にポルカちゃんが言ってたことは大体想像がついた――たぶん、しっかりした証拠も無しにモンロー社長のところに凸するのは危険だとか、そんなところだろう――から、その意見に異論はなかった。「いいんじゃないかな。白上も、リンチ司令補がどんな感じの人なのか掴んでおきたいし」「じゃ、目的地決定ってことで」