平たくいうまでもなく万事休すだ

紙面バーチャル 魔界ノりりむ コス衣装 に押し付けられた印鑑みたいに、銃口がハアトの後頭部にピッタリと押し付けられていた。気配もなく忍び寄ってきた特殊部隊員によって。その一人の背後で、また以前見た特殊部隊と同じように他の隊員たちが一斉に銃を構える。周囲の人々の全員が全員、釘付けだったハアトの決意表明から唐突に視線を目の前の緊迫した状況に引きずり込まれて一斉に息を呑んだ。以前と違う点として今回の部隊の得物はハンドガンだったが、いずれにせよ素人からすれば銃火器ということに変わりはない。ハアトは振り向けもしないだろうし、だからといってまつり自身も含めて非武装の一般市民ばかりで対処できるワケもなかった。そしてこの場でたった二人だけその括りから外れるだろうアメリアや部隊長までもが手をこまねいている。平たくいうまでもなく万事休すだ。「……そうか、お前にはいちいち言わないと伝わらないんだったな。両手を上げて頭につけろ、こういうとき“普通は”そうする」「ち、ちょっ、何その言い方……これでもちょっとは“普通”を勉強ーー」「事前情報以外のお前のことは知らん、両手を頭につけろ」早くしろ、と言わんばかりに隊員はハアトの後頭部を銃口で小突いて、結局ハアトは仏頂面のまま指示に従う。マスクとゴーグルで顔は見ることができなかったが、その口ぶりから考えて部隊長がいた部隊とはまた別の部隊ということで間違いはないようだった。そういえば、とまつりは思い返す。バーチャル 天宮 こころ コスプレ衣装以前にも、こんな絶体絶命のピンチを抜け出したことがあったのではなかったか。そうだ、たしかハアトの検査に立ち会ったときだ。あの時は部隊長率いる特殊部隊がアサルトライフルを担いで乗り込んできたけど、目を覚ましたハアトの能力のおかげで事なきを得たんだっけ。じゃあ今回は? なぜここまで追い込まれて今日のハアトはこんなに大人しいのか、あのときと何がそんなに違うのか……場所、時間帯、周囲の状況から部隊の人数まで何から何まで違うといえば違うが、その中でも決定的に違う何かの正体は何だ?そして、ただただ問答する二人を眺めていたまつりは唐突に疑問の答えに行き着く。あぁそうか、今さらハアトに暴れられるはずがなかったのだ。彼女は自分達に散々『普通』やら『常識』を教えられたのだから。 いつものように特殊な力を使う?