最初は夏風邪かとも考えた。しかし、それはすぐに勘違いだと気付く

窓のイニシャル 戸山 香澄 コスプレ衣装外から蝉の鳴き声が聞こえる。外は照りつける暑さだが、この室内はそれを感じさせないくらいの涼しさだった。ここは大社内にある都築詩船の自室。そこで詩船は同僚の神官から勇者である高嶋香澄の戦死報告を受けていた。詩船「"酒呑童子"をその身に宿し、"完成型"3体を討伐した後、神樹の付近にて生体反応を消失………。樹海化解除後も、高嶋香澄の生存反応は確認出来ず………か。」渡された報告書を読みながら、持ってきた神官に一瞥する。大社の中で詩船は神官であると同時に"高嶋香澄の巫女"という立場だった。"7.30天災"と呼ばれる2015年のバーテックス出現の日に、勇者である高嶋香澄を見出し、彼女を四国へと導いたからだ。香澄が勇者として大社に所属したのと同時に、詩船も巫女として大社所属となったが、その時は既に巫女の力を失っていた。湊友希那を見出した"今井リサ"にしろ、宇田川あこと白金燐子を見出した"戸山明日香"、氷川紗夜を見出した"宇田川巴"にしろ、全員が巫女の力を発現させたのは十代前半の事。それに反し、詩船は当時既に二十歳を超えている。神樹の巫女としての力は既になくなってしまったのだろう。その為巫女では無く神官となったが、かつて勇者を導いた巫女という実績は大きく、詩船は大社神官達の中では特別視されていた。"そういう事になっている"--詩船「………分かった。暫く1人にしてくれないか。」そう言うと、神官は一礼し部屋を後にする。詩船(………アンタも最後までやり切ったんだね、香澄……。)詩船は思っていた。香澄のあの性格だと長生きは出来ないと。イニシャル 牛込 りみ コスプレ衣装いつの時代だってそうだった。若くして処刑されたキリストにしろ、大往生した釈迦にしろ、世界的大聖人ですら生きた時間の長さはバラバラだ。この差は何なのだろうか。香澄はたった14歳で死んだ。そう頭の中で考えながら詩船は立ち上がる。いつもより体が重く足取りも悪い。最初は夏風邪かとも考えた。しかし、それはすぐに勘違いだと気付く。詩船「そうか………私は…落ち込んでるんだな…。」