花びらが開けてくれた道を掻い潜ってあたしは彼女に話しかけた

春風が深海少女 八潮瑠唯 コスプレ衣装​​​​​​​一輪の花を優しく撫でた。なびいた髪を抑えて目を閉じる。甘酸っぱい桜の香りが誘うように辺りを包んで、あたしは思わず誘われた方を見た。視線の先にあったのは公園で、その隅に一際目立つ桜が佇んでいた。傘のように枝葉を広げて、春風に揺れる度に雨のように花びらが舞う。立派な桜の木。少しだけ視線を落として、あたしはその先にいた彼女に目を奪われた。桃色に包まれたその姿。桜を見上げては手を伸ばす端麗な横顔は、まるで絵画のようだ。時折春風に踊る髪を耳にかけては優しく微笑む。目が奪われるほどの感動というものを、その時初めて知った。じんわりと滲む汗を握る。自然と頬が熱を持って、無意識に息を止めていた。苦しくなってようやく息を吐くと、目の前に桜が舞うようだった。桜の精。馬鹿馬鹿しいと思うかもしれないけど、そんな考えが脳裏を過ぎった。そうして瞬きも忘れて眺めていると、ベンチに置かれていた彼女のものらしきカバンがぐらついて、そのまま地面に落ちた。あ、と小さく声を上げる。開いていたのだろう、中身が辺りに散乱する。途端に慌て出す彼女に、桜も舞い方が変わった。先程まではあたしと彼女の間で壁のように舞っていた花びらが、あたしの侵入を許すように道を開ける。知らない人に声をかけるのは気が引ける。不審に思われたくもない。それでも。考えるより先に、体が動いていた。「あたしも手伝います」花びらが開けてくれた道を掻い潜ってあたしは彼女に話しかけた。桃色の髪が揺れてあたしを見る。深海少女 倉田ましろ コスプレ衣装ルビーの瞳と合って、視界がその一点に吸い込まれる。こんなに綺麗な宝石を見るのは初めてだった。彼女は何度か瞬きを繰り返した後、仄かに染まった頬で肩を竦めて笑った。