避けて、くれたのだろうか?いやでもそんな気配もなかった

ぎゅっと友へ贈る花束 湊友希那 コス衣装 目を閉じる。ああ、あたしの馬鹿。もっと気をつければよかった。くるだろう衝撃に身を固め目を瞑るが、ついにそれがくることはなかった。恐る恐る目を開く。目の前にぶつかりそうになっていた人はおらず、パッと後ろを振り向くと、何事もなかったかのように歩くその人が見えた。避けて、くれたのだろうか?いやでもそんな気配もなかった。そんなことを疑問に思いながらも、こころを追いかけていることを思い出して慌ててこころの姿を探すが、もうこころの姿を完全に見失ってしまっていた。あのこころは幻覚だったのか、それとも白昼夢か、そう思うほど綺麗に消え去ってしまった彼女にあたしは落胆した。そりゃ、ほんとうは無事でしたなんて、そんなおとぎ話みたいなことありえないよね。ため息を漏らして自分のいる場所を確認する。「ここは……」気がつけば、見覚えのある場所に立っていた。そこは通学路のひとつで、近くに大きな桜の木が植えてある。今年も綺麗に咲いたみたいで、風に揺られながらひとつひとつ花弁が舞っていった。ここは、あの日あの事故が起こった横断歩道だ。違うところがあるとするのならあたしが横断歩道を渡った先にいることだろうか、そんなことを考えながらぼーっと花弁を眺めていると、背後から聞き覚えのある元気な声が聞こえてきた。振り返ると、ずっと探してた、ずっと求めてたあの子がいて。「ここ、」「こころ!」かすれたあたしの声を遮ったのは、また同じあたし自身の声だった。そこには、元気に歩くこころの後ろを足早に追いかけるもうひとりの制服姿のあたしが居た。それは確かな既視感わたしとピアノ 白金 燐子 コス衣装青色に変わった信号機。意気揚々 と横断歩道に足を進めるこころと、スピードを全く緩める様子のない車。状況に気づいたあたしは、一歩を踏み出そうして、でも、それより先に動く影があった。焦った表情のもうひとりのあたしは、こころに手を伸ばして。