グラの言葉にあった、“地上界”とはこの事を示しているのだろうか

大蛇をバーチャル 不破 湊 コス衣装 倒してから、俺はグラを背負い、遺跡を登り始める。大蛇との戦いで思った以上に遺跡にダメージが入っていたか、安定した足場のいくつかがグラグラと揺れている。下手をすれば部屋ごと大穴に崩れ落ちるんじゃないか?俺は極力足場を注意しながら、残り少しとなった地上への登り口を進んでいく。なんて考えながらも、脳内で先ほどのグラの言葉が反芻する。『地上界の歌姫に気をつけろ』博識なマリンさんから教えてもらったこの世界の大まかな仕組み。この世界は大きく3つにわけることができる。天使族や、選ばれた者のみが暮らす天界。魔族や、地上から追われた者が暮らす魔界。そして、最も大部分を占め、人間達が暮らしている今の地上界。グラの言葉にあった、“地上界”とはこの事を示しているのだろうか。じゃあ……歌姫って?歌姫か、歌といえば、依然立ち寄った港町で見かけたソラさんを思い出した。いや、あれはソラさんに化けた別人……?……なんとなく、地上界の歌姫について、今は考えても無意味なのかもしれない。答えは出ない、そんな気がした。それよりももう1つ……赤い瞳のグラについて考えるべきなのかもしれない。俺はそんなに強くないが、それでも船乗りに囲まれて1か月近く鍛錬をしている。一般成人男性としての腕力は十分あるだろう……そんな俺はあの大蛇の鱗には太刀打ちができなかった。にもかかわらず、グラは易々と大蛇の尾を切り裂いた。あの水でできた三叉の槍。グラについて、以前ルシアが『あの子は何人もの人を殺したことがある』みたいな事を言っていたことを思い出した。バーチャル ミスタ・リアス コス衣装雰囲気も表情もまるで違う彼女。なんていうんだったかな……あれだ、グラは二重人格なのかもしれない。それなら雰囲気の異なるもう1人のグラが居るのも説明がつく。何人も人を殺してきたのがもう1人のグラなら……。あの強さにもある意味合点がいくかもしれない……。(でも、もう1人のグラも悪い人には見えなかったんだよな……)初めて出会った時も、大渦から俺を救い出してくれた……。1度ならず2度までも俺を救ってくれた彼女を、俺は結局疑いきれずにいる。「ん、と……いづっ」背負っていたグラが声を出す。どうやら目が覚めたようだ。「っと、おはようグラ……大丈夫か?」「だい、じょうぶ……じゃないかも……」そんな彼女の声は少し涙目だった。グラの片足は紫色に大きく腫れている……骨が折れているのだろう……大丈夫なわけはないか。罪悪感を感じながらも、俺はなんとか彼女を連れ帰ろうと足を急ぐ。