飛来せし剣は多大な影響を及ぼした。都市の中心に突き刺さり、建物の崩壊、遠方でも大地はひび割れ、うねりを上げる。しかし、落下点から半径1.8km圏内は、氷のような半透明の物質通称クリスタルが地中から、或いは剣から発現し、物質内に崩壊しかけた建物や悲嘆にくれる人間をそのまま閉じ込めた。まるで人々や風景を凍り漬けにするかのように保存されている。クリスタルに閉じ込められた者達は生命活動を維持している。不慮の爆発事故によりクリスタルから強制的に取り出されたMの件を鑑みると、無闇に中の者を救出しろなどという言論はなくなった。ちなみにMは現在植物状態のままだ。クリスタルは触れても問題はないと確認されてから、中に閉じ込められた者達の家族はクリスタルの前に献花を捧げる等して折り合いをつけていく。今でも論争となっていることだが、この中にいる人達は死者なのか生者なのかということだ。これによって相続や年金がどうなるのかという小さな論争が巻き起こり、トラブルが起きている。まつりはかなたとその前を通った。鏡のように反射するクリスタルはまつりを写した。浮かない顔をしている。自分の酷い顔を振り払うかのようにかなたに話し掛けた。「これってあんた達のせいとか？」かなたが首を傾げるので、まつりは具体的に説明した。「このクリスタルとか空から降ってきた剣とか、天使達のせいで落ちてきたんじゃないの？」「違うよ、あの剣は僕たちの住む天界よりも高い位置から降ってきたんだ。原因は謎」かなたは肩をすくめる。背中についている翼がそれと一緒に上下した。「それでその剣を調べるためにかなたんが？」かなたんと呼ばれて自分のことかと理解するのに少し時間を要した。初期 緑仙 コスプレ衣装そしてかなたは述べる。「いや僕達、天使は人間の願いを聞き入れて幸せにするのが役目なんだ。でね、でね、あの剣が降ってくる迄の下界の人間達は明日雨が降りませんようにぃとか、狩りが上手くいきますようにぃとか、ご飯が食べれますようにぃとか、そのぐらいしか願わなかったし、それが叶えば幸せになれたのに。
