咲姫は本当にこの星が好きだね。

自分自身陽葉学園 明石真秀 コスプレ衣装の色も、他人のように見えたらよかったのに。そんなことを考えてしまうのは、心にざわめくこの感情が怖いからだろうか。まばらに設置されたベンチの近くしか街灯に照らされない、都市部にしてはかなり広い、近所にある公園。その片隅で一息ついて、さっきまでカメラで捉えようと苦戦していたあの南の空に輝く赤い星を、改めて肉眼で観察してみる。衣舞紀さん。いつもこの光景で思い浮かぶ人物の名前を呟いてみたものの、それもすぐ少し湿気の帯びた真夏の空気に流されていく。凛とした出で立ちで、よく情熱的な色を放つ人。裏表のない、まっすぐな人。一人には大きすぎたものも、一人で背負おうとしていた人。また、心の中がざわめいてしまう。まるでそれから目を逸らそうとするように、撮れたばかりの写真とともに、彼女に送る文面を淡々と入力していく。まだ正体がよく見えない感情が送信とともにまた旅立っていくのを感じながら、視線を夜空に戻した。私はいったい、何を期待しているんだろうか。大気の反射で電波が戻ってくれるように、乗せていった気持ちの正体も、私自身からも見えるようになるんだろうか。「咲姫は本当にこの星が好きだね。」「横にある星たちってどんな星座かしら?」これまであの人から返ってきたメッセージを思い返しても、そこに答えがあるはずもなく。まもなくスマホの振動が、私を現実に引き戻した。見覚えのある星座の絵柄に、つい口元が緩む。私の部屋でみんなと見たものと違って、今からでも空から探すことができる、あの赤い星と隣り合った星座。いつでもサソリの心臓を狙い続ける、弓を手にした賢者を象ったもの。私が衣舞紀さんのことを赤い星に投影したように、あの人もそんなつもりだったのかは、定かではないけれども。「ケイローンさんの近くにはね、僕たちの銀河系の真ん中と言われるところもあるんだ」小さい頃、父親が語ってくれたこの星座の話を思い出す。天の川がとてつもない数の星々で、銀河系そのものでもあると知ったのは、あれからずっと大きくなってからだったけど。その真ん中には、どんな物も、光であろうとも、いったんその重力に捕まってしまうと逃げられない天体があると言われている。陽葉学園 山手響子 コスプレ衣装……ブラックホールであれば、あなたのその輝きも何もかも、しっかり掴んで手放さないでいられるのだろうか。少し恐ろしいことまで考えてしまったことを自覚しながら。そのまま返事として書く衝動をわずかに残っている理性が抑えていた間に、私はとりあえず最初の一歩を踏み込んでみた。「明日の放課後、少し時間頂いてもいいですか?」