現実逃避を仕掛けていた脳に、輝く宝石があしらわれたそれはきつい

「わぁ、プロセカ 暁山瑞希 コスプレ衣装 懐かしい」数年後、幸いにも私とまふゆ、サークルの25時、ナイトコードでの縁さえ、高校卒業後も続いていた。新曲アップの打ち上げだというのに、今日の奏と瑞希は遅刻をしているようで。「なになに、打ち上げに持ってきたりして」「別に、絵名が見せろってうるさいから」「見せろとは言ってない。あのアルバムどうなってるかって聞いただけ」「一緒に住んでるんだし、勝手に見たらいいのに」「それは、ダメでしょ」「なんで?」「だってまふゆにはまふゆの思い出があるわけだし」あれから何年か経って、想いを伝えて、一緒に住んで。自分でも怖いくらいトントン進むこいつとの生活に、なんだか現実味が湧かない。だからこそ、見るのは気が引けた。「別に絵名に見られて困るものはないよ」「でも、私が嫌なの、そういう盗み見みたいなやつ」「相変わらず変なところ真面目だね」「うっさい」頼んだジュースに口を付けて、フライドポテトに手を伸ばす。なんでまふゆと二人の時間は昔からこうも落ち着かないんだろう。「……絵名」「なに」「結婚しようか」…………は?」静かな声といつものトーン。だからこそ、意味が理解することがすぐにはできなかった。「何しようって?」「結婚」「誰が、誰と?」「私が、絵名と」 ……ちょっと待ってほしい。あ、ドッキリ? 巷で噂の結婚ドッキリってやつ? たぶんやっちゃダメなドッキリよそれ、いろいろ踏み潰してるもん、気持ちとか。「で、これ」「こんな油物の上でそんな高そうな指輪パカってしないでくれる?!!」現実逃避を仕掛けていた脳に、輝く宝石があしらわれたそれはきつい。ウソでしょ、なにこれ。あ、本物だわこの指輪。いや、それもそれで問題だわ。「なんで今!?」「絵名とずっと一緒にいたいって思ったから」「まふゆ……」いや、プロセカ 東雲絵名 コスプレ衣装違うわ。まふゆ……じゃないわよバカじゃないの私も!「こんな……ファミレスで、フライドポテト食べながら、する?」「ダメだった?」いや、すごい嬉しいけども。別に場所とか雰囲気とか変わったって愛があることには変わりないわけなんだけど。「なんで今日なのよ」今までだってたくさんチャンスはあったはずだ。それこそ、良い雰囲気になったことなんて何度も……も、は、ないけど。ないこともなかったのに。「絵名が、このアルバムをくれた日だから」「へっ?」「たぶんあの日から、絵名のことが気になってたんだと思う」「そんな……前から?」「無意識に絵名との写真を納めることが多かったから」はい、と開かれたアルバムには、ニーゴの写真がほとんどで。私とまふゆの写真が、いっぱいだった。