はぁ、ドキドキさせんなよ。ウチら一応アイドル売りしてんだぞ

~風光明媚TITLE DREAM 丸山彩 コスプレ衣装なロケ地~沙綾「で、CMに先だって試乗させてもらえることになったんだ。」有咲「世も末だな・・・香澄モデルの車とか。」高校卒業後レーベルに所属し、トントン拍子で人気ガールズバンドになったPoppin'Party。確かに、自分達が有名人であることに慣れ始めてはきたが、未だに私たちが地上波のCMを担当するなんて信じられない。しかも、香澄モデルの自動車などという珍妙な商品が発売する日が来るなんて。りみ「普通の痛車とは違うの?」たえ「香澄がナビゲーションしてくれるんだって。」有咲「絶対事故るだろ、それ。」沙綾「まあまあ、とりあえず乗ってみようよ。」まあ、実際に運転する沙綾がそう言うなら仕方ない。どうせ香澄の撮影が終わるまで暇だし。私は助手席、たえりみは後部座席へ。沙綾「さあて、エンジンかけるよ!」新車がベースなだけあって、その奇抜な見た目に反して起動音は驚くほど静音だった。そう、見た目だ。フロントは香澄の顔がデカデカと。そこから側面に沿ってトランクまで香澄の全身が描かれている。悪趣味にも程があるだろう。ナビ「365度、貴方の運転を支えまーす!」りみ「香澄ちゃんの声だ。」たえ「ぷぷ。5度余ってる。」有咲「物売るってレベルじゃねーぞ!」りみ「でも楽しいドライブができそう。」沙綾「じゃあ出発するよー。」ゆっくりと車は動き出す。不安はあるとはいえ、この窓からの景色だ。左を見れば山、右を見れば海、空を遮る建物は無く、この私ですら気分が晴れやかになる。ナビ「後部座席、シートベルト締まってないよ!」たえ「あ、忘れてた。」有咲「なんだよ、結構便利じゃねーか。」沙綾「とりあえず、街まで出るよ。」沙綾が慣れた手つきでナビを操作しルートを設定する。ナビ「キラキラドキドキのドライブスタート!」有咲「いや、運転にドキドキはまずいだろ。」まあ、当然ではあるが、乗り心地は良い。香澄(ナビ)が良く喋るが、それもまあ居眠り運転回避の為には有用なのかもしれない。 ・・・と、納得し始めた時だった。ナビ「100メートル先、右折だよ!」沙綾「はいはい。」ナビ「あ、ごめーん。さっきの交差点左だったよ!」りみ「香澄ちゃん、さっき右って言ってたのに・・・。」たえ「これってレアなボイスじゃない?」有咲「いや、こんなん収録すんなよ。」そしてしばらく直線が続いた時、私の心配はとうとう現実のものとなった。ナビ「ポピパの秘密、その21!実はりみりんは喫煙者!」『ひマリー』、ゴー! 上原 ひまり コスプレ衣装有咲「おいおい。」りみ「これ、開発用のボイスだよね?そのまま発売しないよね?ね?」たえ「どうどう。」沙綾「試乗して良かったね、色々な意味で。」たえ「発売前に事務所チェック入るらしいから大丈夫だよ。」有咲「はぁ、ドキドキさせんなよ。ウチら一応アイドル売りしてんだぞ。」