しずくに撫でられて寝ている彼方が声を洩らし、しずくは咄嗟に撫でる手を頭から離してしまう

「ただいま覚醒 園田海未 コスプレ衣装です」声の大きさを抑えた、疲れきったしずくの声が、簡易照明も点いていない静まった真っ暗な玄関へと響いた。「お帰り〜、しずくちゃん」と言いながら、普段の様にしずくを出迎えてくれる相手は居ない。何故なら今の時間は午前零時過ぎ。本来なら彼女はベットで、もう寝ている時間帯だった。彼方が勤務している飲食店は朝の仕込み等の関係で、女優の卵であるしずくより家を出る時間が早く、流石に高校の時とは違っておいそれと夜更かしはできない、逆にこの時間に彼女が起きていたら、熱でもあるかと疑ってしまう。仕方ない、という事はしずくにも分かっていたが、心のどこかでは寂しさを感じていた。だからだった、しずくがリビングへと続く扉から灯りが漏れているのを見た時、まさかと思わずにはいられなかった。こんな時間まで起きているのか、はやる気持ちを抑えながらしずくはリビングの扉を開けた。リビングへと入った瞬間、しずくの視界に映った光景は自分が思っていた事とは違ったが、その光景が目に移った瞬間、安堵感と驚きの気持ちがごちゃ混ぜになったような言葉に出来ない感情に、しずくは支配された。扉を開けたしずくの目に映ったのは、椅子に座りテーブルの上に自分の腕を置き、それを枕のようにして寝る彼方だった。「こんなところで寝るなんて、風邪引きますよ──彼方さん」ため息をつきながら寝ている彼女へと近づく前に、持っていた鞄をソファーへと置き、寝ている彼女を起こす為に、彼方の傍へと近寄った時。「これは…?」寝ている彼方の前に、置かれたある物が目に映る。それはラップが掛けられたお皿、おそらく彼方が作ったしずくへの晩御飯。そして彼方が書いたと思われる書き置き、それを反射的にしずくは読み上げた。「『温めて食べてね』か、本当にこの人は」そしてこの置かれている書き置きで、彼方がここに座っている理由が、何となくしずくは分かってしまう。きっと彼方は、しずくが帰るまで自分を待っていたのだろう、でもここに書き置きがあるということは、途中で眠気が限界に来て書いたに違いない、Tiny Stars コスプレ衣装その証拠に筆跡が乱れていた。書き置きから目を逸らし、しずくは椅子で寝ている彼方へと目線を移し、そっと彼方の頭を、自分の帰りを待ってくれてた愛しい彼女の頭を撫でる。「んっ」 しずくに撫でられて寝ている彼方が声を洩らし、しずくは咄嗟に撫でる手を頭から離してしまう。だけどそれも一瞬で、寝ている彼女の頭にまた手を置き、彼方を起こさないようにゆっくりと撫でていく、そんな時だった。