クゥクゥちゃんがいつも部室に持ってきている愛用のパソコン

「クリスマス、ラブライブ! Liella! コスプレ衣装デスか」きっかけは、そんな練習終わりのゥクゥちゃんの一言だった。呟くように放たれたその言葉に、メンバー四人の視線は自然とそちらへと集まる。「あんた何見てんのよ、ってこれ、竹下通りのクリスマスイベントの広告じゃない」すみれちゃんが覗き込んでいるのは、クゥクゥちゃんがいつも部室に持ってきている愛用のパソコン。その画面には、鮮やかなイルミネーションで装飾された竹下通りの様子が映し出されている。今日は12月11日。私たちにとってはラブライブ東京大会まであと二週間、という節目の日なのだが、世間ではクリスマスを目前にして様々な催し物が開かれているはずだ。言われてみれば、昨日も学校からの帰り道、ライトアップされたイチョウ並木がきらきら光っていたっけ。竹下通りのクリスマスイベントでは通りが色とりどりに飾り付けられるだけでなく、ちょっとしたパフォーマンスが披露されることもあって、それに参加するスクールアイドルグループもいると聞いたことがある。「そういえばそろそろクリスマスだよね、ラブライブのことで頭いっぱいで、すっかり忘れちゃってた」綺麗な夜景が映し出された画面に目をやりながら、あはは、と苦笑するかのんちゃん。東京大会の曲は予選と変わらずかのんちゃんが作詞、恋ちゃんが作曲を担当しているのだが、かのんちゃんの詞が書き上がったのがほんの数日前だから、確かにうっかりクリスマスのことが意識から抜け落ちていたとしてもおかしくはない。覚醒 星空凛 コスプレ衣装地区大会から東京大会までそれほど時間がないというのに、とても素敵な歌詞を作ってくれたと思う。"Starlight prologue"。まだ何者でもない私たちの始まりの歌。本当に東京大会を突破できるのかなんて誰にもわからないけれど、ラブライブの東京大会という舞台でこの歌をみんなと歌えること。その奇跡のような未来に、今から胸が弾んでしまう。だからこそ、生半可なパフォーマンスをすることは許されない。