思わず歌を口ずさみそうになるけど、教室だから流石に自重する

「おラブライブ! 澁谷かのん コスプレ衣装っはよー!」 部室のドアを開けると、可可ちゃん、すみれちゃん、ちぃちゃんが迎えてくれる。「おはようデス!」「かのんちゃん今日も元気だね〜」「これで全員揃ったわね。練習始めるわよ」屋上に出る。今日はぐーんと伸びるような青空。刷毛でさっと塗ったような白い雲の、その間を縫うように鳥が飛ぶ。「じゃあ、まずは柔軟から。ペア組んで」私はちぃちゃんと、可可ちゃんはすみれちゃんと。「早くしやがれデス、グソクムシ!」「今やってるでしょ!」ぎゃあぎゃあ言い合う2人が微笑ましい。いつも通りの光景だけど、案外こういう日常が大切だったりするんだよね。あれ?ふと、違和感を覚える。何だろう、何かを忘れてる気がする。「かのんちゃん、どうしたの?」「あ、ううん。何でもない」ちぃちゃんに背中を押され、体を伸ばす。心地よい痛みを感じる。お、今日はいつもより少しだけ体が柔らかいな。違和感は、もう消えていた。「やばいやばい、間に合わないよっ」練習に夢中になったものだから、ホームルームの時間が迫っていた。みんなで慌てて教室へ向かう。「あ、廊下走っちゃだめだ」速度を緩めると、すみれちゃんがありえないものを見たという顔をする。「そんなこと言ってられないわよ!」「でも一応、校則だしさ」「かのんちゃん、そこの辺気にするんだね」ちぃちゃんが不思議そうに訊いてくる。「うーん。最近気にするようになった、っけ、たぶん」「変な言い回しデスね」結局、早歩きで移動した。教室にぎりぎりで滑り込むと、ななみちゃんとやえちゃん、ここのちゃんに笑われる。「笑わないでよぉ、ひぃ〜」「ごめんごめん、あんまり急いで来るからさ」「この前4人揃って遅刻したから、反省してるんだよきっと」ラブライブ! 葉月恋 コスプレ衣装「その話はやめて!」Liella! は全員同じクラスだから、みんな間に合うか全員遅刻するか、どっちかになる。……だよね。また妙なものを感じたけど、頭を振るとそれは消える。ちょっと調子が悪いのかな。チャイムが鳴る。「やったー、ハンバーグだ!」お弁当箱には私の好物が入っていた。思わず歌を口ずさみそうになるけど、教室だから流石に自重する。それに、周りに迷惑になっちゃうし。みんなでお弁当を食べながら、他愛もない話をする。