いくらシオンちゃんが強くても、『神話』が二人もいちゃ無茶だよ

映像の中バーチャル 甲斐田晴 コスプレ衣装、熱狂する民衆に気圧されるノエルを心配そうに見つめるフレアは困惑に満ちていた。なぜあそこにノエルがいるのか?無理矢理連れてこられたのなら、ウェスタは一体どうなってしまったのか?残してきた者たちのことがフレアを苛む。そして心の奥に押し込んでいた後悔が溢れ出そうとした時、彼女の口を吐いたのは彼女の名前だった。「シオン……一体どうしたんだよ」ウェスタで最も強い者は誰か?屈強なる白銀聖騎士団やルーナ姫を守るルーナイト、そしてウェスタの守人たるハーフエルフ。頭に浮かぶ強者は数多くおれど、おそらく皆が同じ名前を、『紫咲シオン』の名を口にするはずであろう。ウェスタ、否、この大陸における最も強き者と言われても差し支えないはずの彼女が守っていたはずの白銀ノエルが映像の中に、サラーキアにいる。それは詰まるところ、シオンが敗北してしまったことを暗に示していた。「いくらシオンちゃんが強くても、『神話』が二人もいちゃ無茶だよ」「……」メルの指差す二人の少女を目にし、口惜しくも言葉にならないフレア。普段冷静な彼女がここまで狼狽するとはきっと誰も思わないだろう。それを心配そうに隣で見つめるポルカも、流石にいつもの調子で明るく彼女を囃し立てることは出来なかった。「……ししょー」しかし声を掛けないわけにはいかなかった。それはポルカの理想とする不知火フレアとは程遠い、こんな弱々しい姿を見守るために共にやって来たわけではない。バーチャル 健屋花那 コスプレ衣装彼女の見初めた不知火フレアという人物はこんなところでは立ち止まってはいけないのだ。フレアの肩に手を置き、少しとぼけたことを口にすればきっといつものように呆れた笑顔でこちらに振り返ってくれる。そう思いながらポルカがフレアの肩に手をかけようとした時だった。「アレは生き餌ですよ」ポルカのちょうど向かい側で佇む赤茶色の影が小さく呟いたのは。「……何、言ってる?」その声はまるで弾ける寸前の風船のような、緊迫感に満ちた音で響く。ポルカの立つ側とは逆方向に顔を向け声を発するフレアに、彼女の近くにいた者たちは息を飲んだ。まるで憤りを具現化したように、重々しい空気感を纏って放たれた言葉は、ソラに集中していた彼ら彼女らの視線を釘付けにするには容易かった。「ししょー、聞いちゃダメだ……」