貰っちゃった、雛菜の本命チョコ

「⋯⋯なんでノクチル 福丸小糸 コス衣装よりによってハート型なの」「あは〜、せっかくだからかわいいやつ選んだ〜〜〜♡」「⋯⋯何でもいいけど」事務所に入ると雛菜と樋口は先に来てたみたいで二人で楽しそうに会話していた。樋口の手元には箱がある。中を覗き込んでみるとハート型の大きなチョコレートが入っていた。「なんか楽しそうじゃん」「あっ、透せんぱ〜い♡」雛菜は私を見つけると笑顔で抱きついてきた。よしよしとその背を撫でながらチョコについて聞いてみる。「それ、チョコ?」「うん〜。円香先輩に買ってこいって言われて〜〜〜」「言い方。罰ゲームで買ってきただけでしょ」よくわかんないけど、どうやらそれは雛菜が樋口に買ってきたチョコらしい。そっか、雛菜が買ってきたやつなんだ、それ。チョコは外装が開かれただけでまだ口をつけられていなかった。チョコに手を伸ばそうとしてる樋口の手をはたき落とし、代わりに私がチョコを手に取る。「⋯⋯は?」樋口に睨まれてるけどそんなことは気にしない。チョコをひとくちかじる。うん、おいしい。「貰っちゃった、雛菜の本命チョコ」「え⋯⋯透先輩⋯⋯?」「⋯⋯それ、元々は私宛だったやつだけどね」「えっ、でも雛菜の本命は私でしょ?」「そ、そうだけど〜⋯⋯」「じゃ、本命チョコだ。ありがとね」お礼の代わりに頭を撫でてあげる。雛菜は照れているのか頬を赤くしている。かわいい反応に満足する。けれど、樋口に浮気しようとしてたのはちょっと許せないか。雛菜の耳元に口を寄せ、囁いてあげる。「今晩私の部屋においで。たっぷりあげるから、お礼」雛菜は誰のものなのか、ちゃんとわからせてあげるから