爪先から上半身へと全身の毛が順に逆立っていくようなこの感覚

…白金さん3周年 北沢はぐみ コスプレ衣装  に弄ばれている。このような表現は少し異なっているかもしれない。言葉通りに意味を捉えてしまえば決して良い意味には聞こえないが、それでも付き合い始めてから彼女の私に対する振る舞いは私の心臓に良いものでは無い。…いや、だからと言って“それ,,が嫌という訳では無いのだが、それでも彼女が私以外に向ける普段の彼女と、私と二人きりでいる時の彼女を引き合いに出してみるとその差は歴然だった。「燐子先輩、紗夜先輩、お疲れ様でした。お先に失礼します。」放課後の生徒会活動に目処が付いたところで役員の市ヶ谷さんは帰りの準備を始めていた。生徒会室の外からは市ヶ谷さんを呼ぶ戸山さんの声が聞こえてくる。二人を見ているとなんだか姉妹のようで日菜の事を思い出してしまう。帰りにポテトでも買っていこうかしら。それなら私たちも早く帰りの支度をしなくては。そう思い白金さんに声をかける。「白金さん、私たちもそろそろ帰りの準備をしましょう。」「……」おかしい、彼女からの返事が無い。余程作業に集中しているのだろうか、そう思ってもう一度彼女に声をかけてみると、「"燐子,,じゃないんですか?」キョトンと擬音語が付きそうな彼女の言葉が静かな部屋に響く。いや、響くほど大きな声ではない、寧ろ普段の彼女と何一つ変わらないような落ち着きのある声なのに何故だろうか、私の頭の中に響き渡る。そして、「今は私たち二人きりですよ?」まただ、またこの感覚だ。爪先から上半身へと全身の毛が順に逆立っていくようなこの感覚。彼女と二人きりでいると度々こうなってしまう。「す、すみません白か…燐子さん!つい先ほどまで市ヶ谷さんが室内に居たので。それにすぐ側に戸山さんも居たようなので控えた方がいいかと…」彼女の勢いに負かされ私は謝罪の言葉を述べる。普段の彼女と異なる雰囲気を纏う今の彼女と対峙すると異様に緊張してしまう。3周年 奥沢 美咲 コスプレ衣装惚れた弱みというものなのだろうか。そう思考を巡らせていると彼女が再び口を開いた。「そうでしたか、すみません紗夜。紗夜に名前を呼ばれるのが好きなのではやる感情を抑えられませんでした。」テヘっと、少し申し訳なさそうに話す彼女につい見惚れてしまいそうになる。…やはり私の勘違いだったのだろうか、いつもの"白金さん,,と変わらない。「てっきり私は紗夜が他の子の事を考えていると思ってました。例えば…日菜さんの事とか。」「…っ!!」彼女から発せられた言葉に身体が動かなくなる。確かにこの後日菜のためにポテトでも買いに行こうかと考えていたところだったが、それにしたって…「紗夜と日菜さんは仲が良いですもんね。羨ましいです。」