どうして私はくだらない嘘で誤魔化してしまったんだろう

薄ピンク色わくわくアニマル 朝香果林 コス衣装のブラウスと深緑色のタータンチェックのスカート。かすみさん曰く、とびきりキュートな愛されゆるふわパーマのヘアアレンジ。果林さんのアドバイスを参考にして買った服とかすみさんから教わったヘアアレンジだから、おかしな姿になっているということはないはず。そうは思ってもいつもと違う自分の姿で外に出るのは慣れなくて、なんだかソワソワしてしまう。心が騒がしくなるのは待ち合わせ相手が侑さんだからというのも大きな要因だろうけど。早く来てくれないかな。私が早く来てしまったのだからしばらくは待つことになるけど、それでも一秒でも早く会いたいと思ってしまうのは我儘なんだろうか。「せつ菜ちゃん!」そんなことを思っていると、突然聞き慣れた声で名前を呼ばれた。一瞬、早く会いたいという気持ちが強すぎて幻聴がしたのかと思ったけど。振り向いた先にいたのは幻でもなんでもなく、間違いなく愛しい待ち人だった。「侑さん!こんにちは!」足早にこちらに向かってくる姿を見ただけで体温が上昇していくのがわかる。緊張で挨拶した声がうわずってしまって少しだけ恥ずかしい。「せつ菜ちゃん、随分来るの早いね?まだ待ち合わせ時間の30分も前だよ」「えっと、実は電車の時刻を間違ってしまって早く到着してしまったんです!」「そうなんだ」「侑さんの方も早いですね」今日の予定が楽しみ過ぎて早く到着したということを素直に伝えることができず、とっさの嘘で誤魔化した。「私はね、せつ菜ちゃんと遊びに行けるSolitude-Rain 桜坂しずく コス衣のがすっごく楽しみで早く来ちゃったんだー」「、っ!」どうして私はくだらない嘘で誤魔化してしまったんだろう。侑さんはこんなにも自然に自分の気持ちを伝えてくれたというのに。私も素直な気持ちを言えばよかったかな。そしたら侑さんは喜んでくれたんだろうか。まだ会ったばかりの段階なのにもう反省会の材料ができてしまった。