出逢い

「あの、杏山さん、ですよね?」ブルアカ 杏山カズサ コスプレ衣装



「……そうだけど」
 突然後ろから呼び掛けられたカズサが警戒しながら振り向くと、照れ隠しをするように笑う黒髪の少女が立っていた。
「えっと、私は同じクラスの栗村アイリ。よろしくねっ」
 その言葉とともにカズサへ両手が差し出される。
「……よろしく」
 しばし考え、カズサはパーカーのポケットから右手だけ出して握手する。
「…………」
「…………」
 勢いで手を出してしまったのか、アイリは両手でカズサの手を揉み始める。
「……なにしてるの?」
「あ、ご、ごめんなさいっ! 柔らかいなーって……じゃなくてっ!」
 アイリがあたふたと両手を振り回すと、肩に掛けたバッグから飴やチョコがこぼれる。そのことに気付いた様子もなく、アイリは興奮気味に言葉を続けた。
「あのっ、よくコンビニで見かけるけど、スイーツ好きなの?」
「……別に」ブルアカ 鬼方カヨコ コスプレ衣装 

ぶっきらぼうに返すと、カズサは視線をアイリから棚に陳列されたショートケーキに向ける。
「あ、そうなんだ……。えへへ、いつも同じスイーツを買ってるから、気になっちゃって」
「……美味しかったから買ってただけ。別に、好きとかじゃない」
 カズサは居心地が悪そうに二、三度その場で足踏みをしたが、そのことに気付いていないのかアイリは半歩距離を詰める。
「その……私も買ってみても良い、かな?」
「……私に尋ねる必要、ないと思うけど」
「あ、あははっ、そうだよねっ」
 アイリは近くのショートケーキを1つ手に取り、ぎこちなく笑う。
「じゃあ、いただきます」
「うん。……うん?」
 カズサは首を傾げながら、ゼンマイ仕掛けの玩具のようにギクシャクとレジに向かうアイリを見送った。
「……はあ」
 必要もないのにアイリが会計をする背中を見続けていた自分に気付き、カズサは息を吐きながら陳列棚に向き直る。
 その時、ガリ、となにかを踏んだ。
 足もとを見下ろすと、先程アイリが鞄から溢した飴がカズサのスニーカーに踏まれ粉砕されていた。
「…………」ブルアカ 朝顔ハナエ コスプレ衣装


 カズサは誰にも見られていないことを確認すると、ショートケーキを1つ手に取って何食わぬ顔でレジに向かった。